消費者インサイトを掴むヒント。

消費者インサイトを掴むヒント。

映画『羊たちの沈黙』で、

ハンニバル・レクターが、こんなことを言います。

「人間の欲望というものは自存する感情ではなく、

目の前にそれが現れたとき発動する感情だ」

少し怖い人物ですが、

この言葉はとても本質的です。

私たちは、

常に何かを欲しがっているわけではありません。

ただ、

目の前にそれが現れたとき、

「あ、欲しいかもしれない」と

スイッチが入るのです。

欲望は、

眠っている。

そして、

きっかけが来たとき、目を覚ます。

これをマーケティングの言葉で言い換えると、

インサイトになります。

消費者インサイトとは、

本人もはっきり言葉にできていない本音。

聞かれても、

うまく答えられない感情。

でも、

それが刺激された瞬間、

人の心が動くことがあります。

たとえば、食洗機。

多くの家庭で、

「家事は大変だな」と思われているはずです。

でも同時に、

家事は家族への愛情表現でもあります。

「ラクしたい」とは、

なかなか堂々と言いにくい。

だから本人に聞いても、

本音は出てきません。

でも、

「子どもと一緒にいられる時間を長くする道具」

と定義をしなおし、

それをやさしく差し出されたとき、

欲望が発動するわけです。

インサイトとは、

煩悩の翻訳なのかもしれません。

形は違っても、

奥にある感情は、

そんなに多くありません。

挑戦。優越。好奇心。承認。奉仕。自由。適合。安全。

このあたりを、

ぐるぐる回っています。

大切なのは、

欲望を無理に作ることではありません。

もともとある感情に、

気づかせてあげること。

「これ、あなたの気持ちですよね」

と、そっと差し出すこと。

それができると、

商品は「説明されるもの」ではなく、

自分ごとになります。

マーケティングは、

人を操ることではありません。

眠っている欲望に、

小さな光を当てることです。

そしてその光は、

とても強いものでなくていい。

ただ、

「あ、これかもしれない」

そう思える瞬間を、

設計すること。

それが、

インサイトの本質なのだと思います。